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全国カラオケ事業者協会

 

'92年、通信カラオケが登場する。当初、他のカラオケソフトと同様、約3000曲のラインアップでスタートした新メディアは、その後の増曲を機に(1) 曲数の多さ、(2) 新譜リリースの早さ、(3) コンパクトさなどが評価され、普及に拍車がかかる。それまでカラオケボックスの主役だったLDオートチェンジャーのソフト収納容量が限界となり、ハードの追加、交換時期と合致したことも同システムの普及を後押しする要因となった。世間では「マルチメディア」という言葉が流行し、双方向性を持つ通信カラオケはマルチメディアが唯一具現化した商品と称され、ボックス需要の高まりとともに他業種からのメーカー参入と既存メーカーの開発着手が相次ぐ。

'95年には、すべてのメーカー(15社/10システム)の商品が出揃い、通信カラオケ時代を迎える。この年の通信カラオケ出荷台数は10万4000台。全出荷の約80%に当たる。その後も通信カラオケは進化を重ね、'98年度には単年度出荷の94%を占めるに至っている。


'99年以降も、各社は次々と新商品を発表。また、この頃、ギターやキーボード演奏とカラオケを融合した参加型の新たなカラオケスタイルも提案された。が、相次ぐ商品開発と競合の激化は、長引く景気低迷と相まって、メーカー及び販社の体力を奪う結果となる。

業界の再編。'99年タイカンとミニジュークが合併。'00年有線ブロードネットワークスと日光堂が業務提携。さらにユーズ・BMB エンタテイメントと社名を改めた日光堂が'02年タイカンと合併、'04年には続いて買収したパイオニア並びにクラリオン系のカラオケ関連会社などを含め、同社関係子会社の統合を図る。

この間、システムの流れは、低価格帯モデルや老人介護&福祉施設向けコンテンツを備えたシステムが登場。また、'02年以降は、ブロードバンド環境の整備に伴い、各社より、生音・動画等大容量データを活用した新しい時代の通信カラオケが発売。また他方カラオケ機器を用いたゲートウェイビジネスが開始され、新たなネットワーク時代のビジネスシーンが提案される。

ハードとソフトを通してカラオケの歴史を眺めてきたが、カラオケは常に時代の最先端技術と密接に結び付いて発展してきたことがわかる。業務用カラオケ市場で技術を熟成、家電商品化された例も枚挙にいとまがない。アナログからデジタルへ、ニューメディアからマルチメディアへと、市場を問わず時代を牽引してきたカラオケ。現在の主役である通信カラオケにおいても、異業種に先駆けて、ネットワークビジネスを具現化。近年では、通信インフラの整備・ブロードバンド化を受けて、地域を超えたリアルタイムのコミュニケーションを現実のものとしている。また、遠くない将来には、通信システム上に様々な業務用コンテンツが共存する日が訪れるであろう。カラオケ…誰もが手軽に楽しめる日本発の文化・娯楽。この産業・ビジネスは今後も時代とともにスタイルを改め、歌う喜びと、新たな可能性を伝えてゆくに違いない。